2010年7月19日

Ossaraï


気がついたら2010年も折り返し地点!
今年前半の仕事を駆け足で振り返ってみたらこんなステキな作品を見逃していました…。日本を代表する工芸硝子メーカーSUGAHARAの新作発表会(2月開催)で発表の世田谷のパティスリーFraoulaの桜井修一シェフとのコラボレーションをコーディネート。そして誕生したガラスのクロカン・ブッシュスタンドです。クロカン・ブッシュとは小さなシューを飴で固めてヌガーを組み立て円錐状に積み上げる、フランスの婚礼には欠かせない伝統的なウエディングケーキ。しかし悲しいかな湿気の多い日本では飴やヌガーが溶けてシューが落ちてしまったりとアクシデントのもとであるため、作られる機会が少ないのです。
そこで「ガラスでクロカン・ブッシュスタンドを作れないか…」と桜井シェフ。千葉県東金市にあるSUGAHARAのガラス職人とシェフが何度もやり取りし、このような形になりました。マカロンを飾ればなんとマカロンツリーにもなります!ブッフェテーブルにおいても楽しいし、なにしろお菓子が取りやすい。しかしまだこちらはプロトタイプで、今でもシェフと職人のやりとりは続き、完成に向けて試作を続けています。ご期待ください。


そしてSUGAHARA新作発表会の会期中、花見団子のようなカラフルで楽しいギモーヴを提供して下さった桜井シェフ。そんなふんわり春を先取りしたようなお菓子に合うお茶をコーディネートしました。私の地元吉祥寺ある日本茶サロン「おちゃらか」の水出し緑茶2種類(さくらとラフランス)と、3月銀座店オープニングPRのお手伝いをした中国工藝茶専門店「クロイソス」の錦上添花(緑茶)と紅紅8(紅茶)です。
錦上添花はお湯を注ぐとお花が2つすくっと立ち上る縁起のよいお茶。緑茶の中でも特級茶葉とされる黄山毛峰(こうざんもうほう)を贅沢に使っています。そして紅紅8は世界三大紅茶のひとつ祁門(キームン)の茶葉で薔薇のつぼみを包み込んだエレガントなお茶。チョコレートやアーモンド風味のギモーヴと相性がばっちりです。いずれも中国工藝茶発祥の地安徽省にあるアトリエでひとつひとつ手作りされたもの。ガラスのポットの中でゆっくりと開き、お茶の中で揺らぐ花を見ていると時間が過ぎるのを忘れてしまいます。


ロワール河を遡る
「え?火山が噴火で飛行機が飛ばない?」それは4月フランス出張中のことでした。前代未聞の出来事にびっくり。おまけにフランス国鉄はストライキ中。コート・ロアネーズのガメイの畑を訪れながら明日の移動のことを考えてました。そこはPays de la racine de La Loire (ロワール河の源)です。「仕方ない車で行こう!」意を決して日本からのお客様がレンタカーのハンドルを握り、私たちが一路目指したのはロワール河の河口、大西洋の保養地、ナントの郊外ラ・ボール(La Boule)です。数百キロの距離を走りロワール河を遡ってしまうとは想像もしませんでした。
車でフランスを横断して思ったこと、それはホントにこの国は農業国、食と地方が結びついている国なんだということです。高速道路の標識には、ソミュール、ピュリニー… なんだかワインやチーズ、お肉の産地の名前が頻繁に登場して、お腹がすくばかり。


到着したラ・ボール、そして翌日のナントでは、大西洋の恵み、牡蠣や甲殻類をたくさんいただくことに。ロワール河の源ではおいしいエクルビス(川で捕れるザリガニ)をそしてこちらではごらんのように立派なラングスティーヌ(赤座海老)を堪能しました。映画の舞台にもなった歴史的建造物のシーフードレストランLa Cigaleはスカートをはいた蝉がシンボル。碧いタイルを贅沢にあしらったアールデコ建築は一見の価値有りです。