2009年7月3日

Un apres-midi à Pessac-Léognan

冷えたロゼに限ります
日本が本格的な夏に突入する前、久しぶりにフランス出張。ぶどう畑を訪問するのが今回の目的でした。
訪問したボルドーのグランクリュCh.Haut-Bally(シャトー・オー・バイィ)のシャトーのテラスで、ぶどう畑を見ながらランチを頂きました。「肉を焼くならカベルネ・ソーヴィニョンの枝が一番よ」とほほえむマダム。キッチンの暖炉には大きな牛肉の塊が…。
6月末のこの日外の温度は34度。こういう暑い日はほどよく冷えたロゼに限ります。えっ、せっかく偉大な赤ワインで有名なグランクリュのシャトーに来て、なんでロゼなの?と思われるでしょう。


オー・ブリオンのロゼ
何年か前ですが、同じペサックレオニャン五大シャトーのCh.Haut Brionに勤務する友人宅に食事に行ったときふるまわれたのがオー・ブリオンのロゼ。忘れられないエレガントな美味しさ!(注:Ch.オー・ブリオンにロゼはありません)シャトーのファミリーと従業人にだけ配られるのです。なぜ売らないのにロゼワインがあるのでしょう?

赤ワインを作るとき、果皮の色をしっかりつけるため、まだ発酵していない果汁を抜き取る方法が昔からあります。そのまだ色の淡い果汁、当然捨ててはもったいないですよね。それを発酵してロゼワインを作るのです。この方法をセニエ(瀉血)と言います。う〜ん、抜き取るイメージ…。ちょっと怖いですか?でも赤ワインを飲むとき、「畑の血だなあ〜」とありがたく思うのは私だけでしょうか。

というわけでオー・バイィのロゼも、赤ワインの副産物。こちらは商品化されてますので、機会があったらぜひ!もともと赤ワインのみを生産しているオー・バイィの特徴は、なんと同じ畑にいろんな品種のぶどう樹が混じって植えられていること。普通は品種別に畑が別々になっているんですが、私も初めて見ました。一列にいろんな品種が混在してます。ということは、品種によってぶどうの実も熟すタイミングが違うので、機械で一気に収穫できないのです。当然手摘みですね。左がカベルネ・ソーヴィニョン、右がメルローの葉っぱです。


もちろん、ひんやり空気の冷たいセラーでグランクリュの赤もテイスティングさせていただきました。ヴィンテージが違ってもブレがなく、すとんと落としどころが決まっている垂直型のエレガントで格調高いワイン、という感じでした。

種もしかけもない伝統的な作り方
なぜいろいろな品種のぶどう樹が混じっているかと言えば、それはご先祖がそんな風に植えたから。ちなみに白ワイン品種は植える予定ないそうです。種もしかけもない伝統的な作り方。自然とご先祖様のお陰で2009年の夏もこうしてグランクリュの畑にはすくすくとブドウの実が育っているのです。暑い中涼しげに笑顔でゆっくりと手を振って見送って下さったマダムの印象がオー・バイィのイメージとぴったり重なりました。