2009年4月17日

Bourbon pointu récolte 2009

幻のコーヒー豆「ブルボンポワントゥ

ブルボンとは、もちろんフランスのブルボン王朝、
ポワントゥとは““先のとがった”という意味のフランス語Pointu。
貴婦人の指先のようにほっそりと細長いこのコーヒー豆を、
その昔ポンパドール夫人も嗜んでいたと思うと、背筋も伸び、カップを持つ小指も思わず立ってしまいます。                



3年前の発売時には30秒で売り切れたという、
この幻のコーヒー豆を味わう機会を、レストランLe 6e Sens のドミニク・コルビシェフが与えてくれました。

なんでもアフリカはマダガスカルの近くにある、
レユニオン島でしか栽培されないという希少な豆で、
コーヒー豆の原種に最も近く、ルイ14世によって見い出されたそうです。
その当時レユニオン島はブルボン島と呼ばれ、
特にルイ15世がこだわったこのコーヒーはベルサイユ宮殿で愛飲されていました。その後ご存じのように王制が革命によって崩壊し、さらに1806年島を襲ったサイクロンのためにコーヒー樹が失われ、島の産業がすっかりサトウキビ中心になってしまって、この世から消えかけてしまった「ブルボンポワントゥー」なのですが、なんと日本のコーヒーメーカーUCC上島珈琲さんが、フランス政府農業研究開発国際協力センター(CIDAD)と実験を積み重ねた結果2002年栽培に成功し、めでたく復活したのだそうです。



はるばる日本まで空輸で
やって来たその希少なコーヒー豆(限定300キロ強)を、せっかくなら豆の歴史に関係のあるフランス人に味わっていただきたい…というUCCさんのお声がけにドミニク・コルビシェフがならば丸ごと味わってしまおうと、コーヒーをテーマにしたランチをアレンジ。

集まったのはフランス人ジャーナリストのドラ・トーザンさんとワインプロモーターのジェニファー・ジュリアンさん(NHKの「フランス語会話」で覚えてらっしゃる方もいらっしゃるでしょう)。なぜかいつもドミニクの周りには美女が集まるのです…。



そして肝心のコーヒーですが、お湯を注ぐと、
普通のコーヒーの倍以上の高さまで、ふんわり、むっくりとふくらみます。カフェインが通常の豆の1/2と言われるブルボンポワントゥーは、まろやかでエレガント、飲み疲れず、なんともいやされるピュアな味わいでした。今はこの希少価値の高い豆の栽培を現地の産業として定着させるため、毎年すべて豆を買い取っているというUCCさん。
日本の企業の努力によって甦るフランス王朝のコーヒーの味…カップの中にロマンと冒険心を感じました。