アンヌ・ソフィー・ピックさんに会って…
2005年にママになったピックさんは本当に優しくしなやかな女性でした。20歳で学生のころ東京に3ヶ月滞在したこともあるそうです。料理人としてのスタートは遅くグランメゾンでの修業経験もなく、最初は自信の無かった時期もあったそうですが、ミッシェル・ブラスなど独学で三ツ星に上りつめたシェフを仰ぎながら、自分なりの料理の法則、感覚を磨いてきた努力の人です。1992年オーナーシェフだったお父様が急死され、1995年にお店が二ツ星に降格してから2007年春の三ツ星奪回までとても長い道のりだったと思います。でもそんな苦労の影を見せることはいっさい無く、モナリザのような微笑みをたたえています。そして一言インタビューで「継続が大切」と語ったとき私はドキッとしました。ご主人やご兄弟など優しいご家族に恵まれているのだと思いますが、子育てとシェフの両立には時間も気持ちもかなりセルフコントロールが必要なのだと思います。
まだ私はフランスの本店には伺ったことはないのですが、写真を通してピックさんが説明してくださったお料理の数々は色彩豊かで、フェミニンで精密、見ているだけで香り立つようなすてきな素材の組み合わせでした。いつかヴァランスへ行ってみたいと思いました。