2008年8月25日

Sushi Collection Eté 2008

残暑お見舞い申し上げます。
お盆もすぎて、夏休みも残るところわずか。
激しい蝉の声のしじまに、朝晩の風が気のせいかちょっと
涼しく感じられるようになって参りました。
2008年の夏、どのように過ごされましたか?

私はずっと東京に留まり、蚊取り線香も3箱目に突入。
クーラーは電源からはずし、扇風機と団扇、手ぬぐいとござで暑さを
しのぎ、そうめんはごまだれときゅうりでたっぷりと…。
かき氷も海の家でいただきました。初めて神宮球場へ花火も見に行きました。
東京の夏満喫という感じです。

去年の夏からでしょうか。
以前は一切日本までやってくることがなかった
フランス人の知りあいたちが、東京まで観光にやってくるようになったのは。
そして今年の夏も一人、また一人と来日。
6月にはフランス人ジャーナリストから東京の食について取材コーディネート
の依頼が舞い込んでくるほど、今TOKYOはフランス人にとって、
注目のバケーションの目的地となりました。

「どこへ行きたい?」とたずねるまでもなく、
「寿司を食べに行きたい」と到着前から彼らはリクエストしてきます。

まず最初にSUSHIと寿司、これが違うことから説明します。
酢飯に生の魚が載っているだけじゃないということを。
そして日本人には行きつけの床屋さんがあるように、
行きつけのお寿司屋さんがあることを。

なにを隠そう、私は二十歳を過ぎるまで生の魚がたべれませんでした。
今やっと、ここへ行けばいつも安心というお寿司屋さんに身を委ねる幸運に恵まれ、
私もつくづく「大人になたっんだなあ」、などと思うのです。

私がお寿司屋さんで好きな瞬間は、握る人の手を離れて、
ポンっと寿司が置かれる時です。

ふわっと寿司が着地する瞬間、
まるでこちらに挨拶するようにほんのわずかですが動くのです。
一期一会、食べてしまったらもう会えない、
でも食べられるためにそこにある一握りの寿司…。

まるで宝石ように輝いて、ひとつ一つが個性的です。
料理は一回性の芸術、そう言っていたのはフランス人のシェフですが、
寿司を口に運ぶ度に、うなずきながら納得してしまうです。

赤身の漬け: zuke
多くの日本料理同様、お寿司も季節を感じるのにはうってつけです。冬には冬の夏には夏の表情があります。まぐろの漁場を尋ねればだんだん北上しているのがわかるのです。









烏賊:Ika(Calamar)
タリアッテレ・ドゥ・カラマール? 厚さわずか3ミリの烏賊の切り身をさらに包丁で4枚にスライス。切るだけで烏賊は甘さを増し、ご飯と合わさりさらに官能的なテクスチャーに…。






新子:Shinko
「江戸前」、これもフランス語に訳すのが難儀な表現の一つですが、この新子(こはだのこども)を見ていただければ、一目瞭然。豆絞りの手ぬぐいにも似た粋なネタをまとっています。風呂上がりにくっと衿をぬいて、ラフに浴衣を着こなしている、そんなすてきな女性に見えませんか? 





巻き:Maki
新鮮な海苔とわさびは、たっぷり太陽にあてて干した布団を取り込んだときのような幸せな日なたの香りにあふれています。きゅうりのサクッとした食感が涼を呼びます。まさに夏のお寿司。



merci beaucoup!