2008年9月22日

Chef Pierre




パパ!パピ(フランス語でおじいちゃん)!

あちこちから呼ばれているのは、
シェフピエールこと、ピエール・トロワグロ氏です。
敬老の日を前にした9月5日に、
ミシュラン三ツ星維持40周年記念パーティーのために久しぶりに来日。




なんとその日が80歳の誕生日。
私はつい、
“パパピエール”と呼んでしまうのですが、
2005年にわさびの植え付けコーディネートでロアンヌのメゾン・トロワグロに伺ったときに
パパピエールにお会いして、現役を退いたとは言え、料理についても、わさびについてもどんどん突っ込んだコメントをされる、
その感の鋭さと記憶力のすばらしさに感動したのを覚えています。




パパピエールはさらに周りにいる人を落ち着かせるパワーを持っています。
不思議と一緒にいるとても穏やかな満ち足りた気持ちになるのです。

そしてめちゃくちゃおちゃめで(失礼)、時に超人級のギャグを飛ばします。
とにかくなにごとにも興味が尽きず80歳なのに
少年のような目をキラキラさせています。

しかしながら滞在中にいくつもインタビューを通訳させていただき、
その人生は決して平坦ではないことを知りました。
でも一切後悔やネガティブなコメントはでてきません。

「私の幸運、それは料理を革新させてくれた息子がいること」

親子で料理人…なかなかこういう言葉は息子の前では言えませんよね。
(息子はミッシェル・トロワグロ)




1970年代のMaison Troisgrosのメニュー表紙(山本益博氏所蔵)シェフ・ピエール、そして今は亡き兄ジャンの似顔絵。素朴なタッチがいい味出しています。






ひとつ質問すると答えが10になってかえってくる、
それもたくさんの実のある言葉とともに。
パパピエールの傍らで過ごさせていただいた4日間は、
忙しさに心を失いがちな私にとって小春日和のようにすがすがしく、温かい時間でした。
インタビュー中ずっと話していたと思ったら急に静かになったパパピエール。…

「パパ、寝てるの?」
「いや、シェフは瞑想するものなのだ。」

どうかいつまでもお元気で!