2010年3月31日

Rhapsody in Shanghai


こんにちは上海
ワインのリサーチで上海へ行ってきましたなんと30年ぶりです。そのときは船で行ったのですが、まるで別の国になったかのような現在の上海にすっかり浦島太郎です。
世界一の高層ホテル「パークハイアット上海」に泊まってみました。私の浦島太郎ぶりは、現在を通り越して未来にまで行ってしまったようです。

「パークハイアット上海」は、通称“栓抜きビル”と呼ばれる101階建ての上海環球金融中心(ワールドファイナンシャルセンタービル)の高層階にあります。まず地上から400メートルまで数十秒で昇るエレベーターのスピードについてゆけなかったのか、ロビーに着いたときには足もとがふわ〜。窓から見下ろす、近未来的眺めを見て思い出しました。旧ロシア映画の巨匠アンドレイ・タルコフスキーの「惑星ソラリス」(1972年)です。当時タルコフスキーは未来の都市を描くのに、東京の首都高速、ちょうど赤坂見附あたりのトンネルを撮影したのですが、もし監督が今「惑星ソラリス」を作るならきっと上海の浦東(プードン)をロケハンしていたのではないでしょうか…

二日目、上海を離れて蘇州に行きました。15年くらい前までは田んぼだったという広大な土地に工業団地ができて、日本をはじめ各国の企業が進出してきています。お昼には川魚をいただきました。湖の周りにはとてもモダンなフードコートやレストランがあってこれもびっくり。でも旧市街地の運河沿いへ行けば、昔懐かしい庶民の生活の息づかいが感じられます。そんな古い町の一角にPOST CARD & MILK TEAという小さな看板のお店を見つけました。

中に入るとポストカードが売られているだけでなく、壁一面、1月から12月まで日付別に分けられたカレンダー式の状差しに、メッセージを書いて切手を貼ったポストカードがたくさん残されています。お店の人の話によれば、ここで買ったハガキにメッセージを書いて好きな日の状差しにいれておけば、その日に投函してくれるのだそうです。すてきなサービスですね。ミルクティーを作ってくれるカウンターの板の下を支えるのは積み重ねられた単行本。とってもおしゃれ。気に入ったポストカードを見つけて、お茶で暖まりながら、未来の自分にハガキを書いて置いてくる…なんていいですよね。

そしてお土産は…
名前につられて買ってしまった菓子パン!たしかにゲジゲジに見えなくもありませんが、
恐ろしい名前とは反対に子供が喜びそうなバタークリームをサンドしたミルクパンでした。そして、殻付きの大きなクルミとピーカンナッツ。帰国してから毎日リスのごとく食しています。なぜか子供のころ、缶に入った中国のクルミを抱えて食べていたおいしい思い出があります。クルミは割ると脳の形をしているので、脳によいとこと、ふむふむ、私には必要です。そしてピーカンナッツはクルミよりもタンパク質やビタミンB群やEが豊富で、コレステロールを下げ、身体によいのだそうです。(いずれも食のデパート「第一食品商店」でざくざく量り売りしています)

中国で感じたこと
リーマンショック、今回の金融不安で相当な損をして海外から戻ってきたり、破綻した優秀な青年実業家たちに中国政府がしたこと、それはお金を渡して内陸にチャンスを求めるよう背中を押したことだそうです。中国の経済政策のお陰で、都市部、沿岸部はみるみる発展しました。それは確かに今回垣間見た新しい中国。しかしこの国は巨大です。まだまだ内陸は未開発で、30年前と変わらない生活をしている人たちもたくさんいるわけで、発展のための需要は山ほどあります。資源も人材も未開発。まだまだこれから、という期待感を抱かずにはいられません。内需の拡大と言いながら、少子化、デフレが続く日本とは正反対のような気がしました。そしてこの国で技術指導をしたり、進出をしてもの作りを教える日本人の技術者やビジネスマンにお会いして、遠いようで近かった中国の存在の大きさに気づいたのでした。